楊先生の漢詩朗読(その9 杜甫の「春夜喜雨」)

スマイル中国語教室

楊先生の漢詩朗読(その9 杜甫の「春夜喜雨」)

こんにちは!スマイル中国語教室の楊 欣然です。

 

今日は日本人にもお馴染みの中国の詩人、杜甫が詠んだ漢詩「春夜喜雨」を中国語で味わってみたいと思います。

 

楊先生の春夜喜雨の朗読はこちらから。

 

 

春夜喜雨 杜甫

 

好 雨 知 時 節

 

当 春 乃 発 生

 

随 風 潜 入 夜

 

潤 物 細 無 声

 

野 径 雲 倶 黒

 

江 船 火 獨 明

 

暁 看 紅 湿 處

 

花 重 錦 官 城

 

(解説)

 

好 雨 知 時 節

 

(白文読み)好雨 時節を知り

 

(現代語訳)よい雨というのは降るべき時を心得ている。

 

当 春 乃 発 生

 

(白文読み)春に当たりて乃ち発生す

 

(現代語訳)春になると降り始めるのだ(雨が万物の生育を始めるとの解釈もあり。)

 

随 風 潜 入 夜   

 

(白文読み)風に随ひて潜かに夜に入り

 

(現代語訳)雨は風に吹かれながら、静かに夜まで降り続き

 

潤 物 細 無 声

 

(白文読み)物を潤して細やかに声無し

 

(現代語訳)細やかで音も立てずにすべての物を潤す。

 

野 径 雲 倶 黒

 

(白文読み)野径 雲 倶(ともに)に黒く

 

(現代語訳)野の小道も雲も皆暗く

 

江 船 火 獨 明

 

(白文読み)江船火 独り明らかなり

 

(現代語訳)川に浮かぶ船の灯だけが明るい。

 

暁 看 紅 湿 處

 

(白文読み)暁に紅の湿ふ処を看れば

 

(現代語訳)明け方に紅色に潤っているところを見ると

 

花 重 錦 官 城

 

(白文読み)花は錦官城に重からん

 

(現代語訳)しっとりと濡れた花が、錦官城に重たげに咲いている。

 

 

 「安史の乱」により杜甫は長安から逃げ延び、妻子を伴い、大変な苦難を乗り越えて成都に赴きます。しかし成都では、これまでに得た多くの援助もあり、成都郊外に「杜甫草堂」を築きます。家族ともども暮らす草堂でやっと安らぎの生活を手に入れます。

 

 

 

 

 

 

 「春夜喜雨」は、成都に来て三年目、杜甫50歳の時の作とされています。降りしきる春雨の闇夜、漁火が目に止まります。暁を迎える頃には、錦官城(成都)付近の花々が、しっとりと潤って一斉に赤に染まるようになると。

 

 

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