楊先生の漢詩朗読(その50. 梅の実が熟する中、梅雨をうっとおしく感じる気持ちを詠んだ、杜甫の漢詩「梅雨」)
こんにちは!スマイル中国語教室の楊 欣然です。
今日は、杜甫が詠んだ漢詩「梅雨」を中国語で味わってみたいと思います。
(白文)
「梅雨」 唐 杜甫
南京犀浦道
四月熟黄梅
湛湛長江去
冥冥細雨來
茅茨疎易濕
雲霧密難開
竟日蛟龍喜
盤渦與岸回
(書き下し文)
「梅雨」 唐 杜甫
南京 犀浦の道
四月 黄梅熟す
湛湛として長江去り
冥冥として細雨来たる
茅茨は疎にして湿ひ易く
雲霧は密にして開け難し
竟日 蛟龍 喜び
盤渦 岸と回る
(現代語訳)
「梅雨」 唐 杜甫
南京(=成都)犀浦県にある草庵の道は、
陰暦四月になって、梅の実は黄色に熟する。
その頃に、長江は水を満々と湛えて流れ行き、
あたりを暗くして、梅雨の細かな雨が降ってくる。
草庵の茅葺きの屋根はまばらに葺いてあって、雨が滲みやすく、
雲や霧は深くたれこめて、なかなか晴れることがない。
この雨空、一日中を蛟龍は喜び、
水面の渦は岸の形に沿って回っている。
(解説)
龍は古来、風雨を呼ぶものであり、神的かつ荘厳なイメージがあります。この漢詩では、龍が雨の中で戯れるものとされています。旧暦の4月は初夏、すなわち今の6月頃になります。梅の実が熟する中、雨がうっとおしく降り続いています。こんな時に喜ぶのは龍くらいのものであろうと杜甫は詠っているのです。杜甫らしい独特な表現ですね。