楊先生の漢詩朗読(その39. 杜甫の遠地に行く時の想いを詠んだ漢詩)
皆様、こんにちは!スマイル中国語教室の講師、楊 欣然です。
今日は杜甫が住み慣れ、思い入れのある成都の住居から遠地に行く時の想いを詠んだ漢詩を中国語で味わっていきたいと思います。
(白文)
絶句 杜甫
両箇黄?鳴翠柳
一行白鷺上青天
窓含西嶺千秋雪
門泊東呉萬里船
(書き下し文)
絶句 杜甫
両箇の黄? 翠柳に鳴き
一行の白鷺 青天に上る
窓には含む西嶺 千秋の雪
門には泊す 東呉万里の船
(現代語訳)
絶句 杜甫
二羽のうぐいすが緑の柳に鳴き
一列の白鷺が青い天に上っていく。
窓の向うには西嶺の万年雪が見え、
わが家の門のところには東方の呉からはるか万里の旅をしてきた船が泊まっている。
(解説)
杜甫は唐の時代の詩人です。戦乱と飢餓を避けて各地を渡り歩いた末、764年、杜甫53歳の時、四川省・成都郊外に庵を結び、家族とのんびりした時間を過ごします。そこでは清らかな川が流れ、川沿いの村はあらゆる物がゆったりと過ごしています。この成都で家族とともに過ごした数年間が、彼の生涯のなかで最も平穏な日々でした。
その自然の中、自由に出入りする梁の上の燕、親しみ近づいてくる水中の鴎、黄?や白鷺、さらに庭から見える千年雪の峰は毎日見慣れた光景なのです。
しかし、ここを出て長江下流の呉の地方に行かざるをえない時が来ました。最後に、目に焼き付けておきたい、ここ成都の風景。しみじみとした別れの稔が伝わってきますね。