楊先生の漢詩朗読(その36. 許渾の詠んだ漢詩「謝亭送別」)
皆様、こんにちは!スマイル中国語教室の講師、楊欣然です。
冬の足音がはっきりと聞こえてくる季節になりましたね。今日は秋の深まりの中、友との別れを詠んだ漢詩を中国語で味わってみたいと思います。
謝亭送別 許渾
労歌一曲解行舟
紅葉青山水急流
日暮酒醒人已遠
満天風雨下西楼
(書き下し文)
謝亭送別 許渾
別れの曲とともに、旅行く舟はともづなを解いて出発する。
紅くもみぢした樹々、緑の山々、水の流れは速い。
日暮れ、酒の酔いから醒めれば、旅人である友はすでに遠く去り、
遙か一面、風は吹き渡り雨は降る中、私は西の楼から下りて行く。
(現代語訳)
謝亭で送別をして 許渾
送別の歌一曲とともに旅立つ舟の纜(ともづな)が解かれて。
紅葉と青い山々(の前を)水は激しく流れる。
日が暮れて、酒が醒めた時には、(旅立った)人(の舟)は已に遠くなっていた。
空いっぱいの風と雨(の中で)西楼を降りた。
(解説)
この漢詩は、安徽省の東南部に位置する宣城市の北側にある謝公亭とも呼ばれる建物で友人を送る時に詠んだものです。「労歌」は、金陵(現南京)郊外にあった「労労亭」で歌われた送別の歌です。友人を乗せた舟は遠くに行ってしまいましたが、激しく流れる川に風と雨。旅立って行った友人の運命を暗示しているのかもしれません。送別の宴を開いた時は、お酒を一緒に飲む友人もいたのに最後は一人。紅葉と青い山、流れる水を友人と見れば、心癒される景色かもしれませんが、一人だと何とも寂しい景色なのでしょうね。