楊先生の漢詩朗読(その42. できあがった春の美しさよりもまだまだ春にならない未熟さにこそ価値あり。韓愈の漢詩「早春」)
皆様、こんにちは!スマイル中国語教室の講師、楊欣然です。
今日は韓愈の漢詩「早春」を中国語で味わってみたいと思います。
(白文)
韓愈 「早春」
天街小雨潤如酥
草色遥看近却無
最是一年春好處
絶勝煙柳満皇都
(書き下し文)
天街 小雨 潤うて酥の如し
草色 遥かに看るも 近づけば却って無し
最も是れ 一年 春の好き処
絶だ勝る 煙柳の皇都の満つるに
(現代語訳)
車馬の行き交う都大路に春の小雨がしとしとと降るだけで、あらゆるものが潤うが道路が小雨で緩やかにミルクが溢れるような状態になり、
草の色どりは遠くは確かに見えるが近くでは見えない。
この景は一年の春の内で最高に快い時で
霞の掛かった柳が首都に満ち溢れているより遥かによい。
(解説)
寒さが残るの早春。乾燥した黄河流域の中原の野に山に、都大路にも季節よりも一歩だけさきがけて細やかな春の雨が降っています。やがてやって来る春の美しさ。大通りに降る小雨をミルクに例え、遠くの景と近くの景の微妙な違いに注目しています。遠くの草の色どりは見えるが、近くの色どりは見えません。完成品より未熟品。できあがった春の美しさよりもまだまだ春にならない未熟さにこそ価値があるとしているのです。