楊先生の漢詩朗読(その33. 韓愈の詠んだ漢詩「送桂州嚴大夫」)
皆様、こんにちは!スマイル中国語教室の講師、楊欣然です。
今日は韓愈の"送桂州嚴大夫"を中国語で味わってみたいと思います。先日マーシーの旅行記でも紹介させていただいた桂林に関する漢詩です。
送桂州嚴大夫 韓愈
蒼蒼森八桂,茲地在湘南。
江作青羅帶,山如碧玉簪.
戸多輸翠羽,家自種?甘。
遠勝登仙去,飛鸞不假驂。
<書き下し文>
桂州の嚴(ゲン)大夫を送る 韓愈
蒼蒼(ソウソウ)たり 森(シン)たる八桂(ハッケイ)、
茲(コ)の地 湘南(ショウナン)に在り。
江は青羅(セイラ)の帶(オビ)を作(ナ)し,
山は碧玉(ヘキギョク)の簪(カンザシ)の如し。
?は多く 翠羽(スイウ)を輸(ハコ)び、
家は自(オノ)ずから?甘(コウカン)を種(ウ)ゆ。
遠勝(エンショウ) 登仙(トウセン)して去れば,
飛鸞(ヒラン) 驂(サン)するに假(イトマ)あらず。
(現代語訳)
桂州都督として赴任する厳大夫を送る 韓愈
伝説上の月の宮殿のように桂(金木犀)の木が生い茂る、こんな美しい所が湘江の南に在る。
川は青い羅(ウスギヌ)の帯のようであり、山は碧玉で作った簪のようである。
家々の戸口からはカワセミの翠(ミドリ)の羽が運び出され、どの家でもミカンの木が植えられている。
はるか景勝の仙人の住むところに行くと、
鸞鳥が背に乗せて休むことなく案内してくれるのだ。
(解説)
桂州とは現在の桂林市一帯です。桂林は「桂林山水 甲天下」(桂林の山水の風景は天下一、並ぶものなし)と、古くから讃えられてきました。
この漢詩は、韓愈(768~824)が、晩年(55歳)に詠んだもので、友の厳大夫が左遷され、桂州都督として赴く際、「桂林は仙人の住むような月の宮殿のように幻想的な場所だから、心配することはない。気を落とさないように」と送り出したのです。
韓愈の人生も他の詩人と同じように波乱万丈なものでした。長安で高位に就きましたが、皇帝への直言がもとで逆鱗に触れ、二度にわたり、広東省潮州に左遷されました。しかし流された潮州で善政を行い、人々に崇められていました。
左遷された先の杭州で功績を称えられている蘇東坡と同じですね、、。左遷先でも腐らないで信念を貫き、辛い環境でも失せない好奇心、、強靭な精神力を持った中国古代の詩人に感服いたします。