楊先生の漢詩朗読(その44. 悩みが深く、春が味わえられない程の悩みの気持ちを詠んだ、賈至の漢詩「春 思」)
こんにちは!スマイル中国語教室の楊 欣然です。
春が来たにもかかわらず、新型コロナウイルスのため、先が見えず、不安な毎日ですね。
今日は賈至が詠んだ漢詩「春 思」を中国語で味わってみたいと思います。春の美しい景色や香りにもかかわらず、悩みが深く、春が味わえられない程の悩みを抱えている様子を詠んだ歌です。
(白文)
春 思 (一)賈至
草色青青柳色黄
桃花歴乱李花香
東風不為吹愁去
春日偏能惹恨長
(書き下し文)
春 思 (一)賈至
草色青青として柳色黄なり
桃花歴乱として李花香し
東風為に愁いを吹き去らず
春日偏に能く恨みを惹いて長し
(現代語訳)
萌えたばかりの草は青青として柳の新芽は黄金の色
桃の花は一面に咲き乱れ、李の花は香しい。
だが、春風は私の愁いを吹き去ろうとはしてくれず、
長い春の日は憎らしくも、私の心に深い嘆きを起こさせるばかり。
(解説)
賈至は盛唐の時代の洛陽(河南府)の出身です。官史となりましたが、安禄山の乱が起こると、玄宗とともに蜀に避難しました。巴陵に流され、李白とともに酒宴に日を送ったこともあるようです。
この漢詩の風景から青い草、黄色の柳、そして桃の花があたり一面にピンク色に咲き乱れている中、スモモの香りが漂ってきますが、そんな美しい春の風景だけれども私の憂いを風は吹き払ってくれない。かえって私を苦しませると嘆いているのです。悩みが深く、春の美しさを感じられない。それだけ悩みが深いということなのでしょう、、、。