楊先生の漢詩朗読(その6 李 白の「王昭君」)
こんにちは!スマイル中国語教室の楊 欣然です。
昨日マーシーの呼和浩特(フフホト)の旅行記で中国4大美女の1人、王昭君の青塚を紹介させていただきました。王昭君の悲劇は李 白に漢詩として詠まれています。今日はその悲しみに溢れた漢詩を中国語で味わってみたいと思います。
匈奴に嫁ぐために馬に揺られ、山、砂漠、草原を超えて2か月以上も長旅をしました。その途中で怨思の歌をつくり、元帝に贈ったと言われています。
王昭君は落雁美人と呼ばれます。その由来は故郷の方向へ飛んでいく雁を見て、望郷の思いをこめて琵琶をかき鳴らした所、彼女の容姿と悲しい調べに耐えられなくなり、雁が次々に落ちてきたとの言い伝えからです。
しかし後宮にそのままいたら、皇帝に知られることなく、一生を終えた可能性もありました。匈奴では大切にされており、異境の地で強く美しく生き、そして案外幸せで、悲劇の女性などではなかったのかもしれませんね。
王昭君 李白
漢家秦地月
流影照明妃
一上玉関道
天涯去不帰
漢月還従?海出
明妃西嫁無来日
燕支長寒雪作花
蛾眉憔悴沒胡沙
生乏?金枉図画
死留青塚使人嗟
(解説)
漢家秦地月
(白文読み)漢家 秦地の月
(現代語訳)漢の時代。長安を照らした月。
流影照明妃
(白文読み)流影 明妃を照らす
(現代語訳)その流れるような月の光は明妃(王昭君)を照らしていた。
一上玉関道
(白文読み)一たび玉関の道に上り
(現代語訳)ひとたび玉門関を越えて旅路につくと
天涯去不帰
(白文読み)天涯 去って帰らず
(現代語訳)生涯戻ってはこれなかった。
漢月還従東海出
(白文読み)漢月は還た 東海より出づるも
(現代語訳)漢の時代の月はまた東の海から上ってくるが、
明妃西嫁無来日
(白文読み)明妃は西に嫁して来たる日無し
(現代語訳)明妃(王昭君)は西に嫁いで二度と戻って来る日は無かった。
燕支長寒雪作花
(白文読み)燕支 長えに寒くして 雪は花と作り
(現代語訳)燕支の山はいつも寒く、雪は花のように舞い散り、
蛾眉憔悴没胡沙
(白文読み)蛾眉 憔悴して 胡沙に没す
(現代語訳) 美しい眉はやつれ果て、野蛮人のいる砂漠に没した。
生乏黄金枉図画
(白文読み)生きては黄金に乏しく 枉げて図画せられ
(現代語訳)生きていた時は似顔絵師に賄賂を贈らなかったため、事実をまげて醜く描かれ、
死留青塚使人嗟
(白文読み)死しては青塚を留めて人をして嗟かしむ
(現代語訳)死んでは青塚とよばれる墓だけをとどめて、人々を嘆かせている。
これからも漢詩を中国語で味わっていきたいと思います。よろしくお願いいたします。